世はまさに大リモート時代。
皆はもうこのリモートの大海原で帆にいっぱいの風をはらませて縦横無尽に駆け巡っていることだろうと思う。このリモートの海にえっちらおっちらと丸木舟で漕ぎ出したのが俺である。
なぜリモートでの儀式のために出張せねばならないのかそこはリモートで済まないのか。
大体俺だってリモート会議とかまるっきりの素人だった。ついこないだまで。「なんかやらないといけないらしいよ」と言われて「じゃあしゃあねえか」とネットで調べて、いつもの儀式の状況から起こりうる事態と必要な新規物資を想定してなんとかしに行っただけだ。
なんか会社では担当者みたいにされてるけど別に他の仕事減るわけじゃねえし大体今でも素人に毛が生えたくらいしか知識ねえってばよ。
どうして従業員何十人も抱えていて同じことがやれる奴がいないんだ。
今後この儀式を他のメンバー(役職上は上司含む)に任せ、最悪リモートで行えるようになるためには現地に出向いて他のやつが同じことをできるよう仕込んでおくしかない。というかした。
取引先というか元請けよ、どさくさに紛れててめえの会社の仕事を押し付けてくるんじゃねえ。本来元請けがこの儀式の要領を取りまとめて、下請けたる弊社を指導しておかねばならぬのではないか。何が「うわあ、こんなふうに画面が見えるんだじゃあお願いしまーす」じゃあねぇよなんだ貴様その表示名「0403」とは囚人番号か? ああん? 仕方ないからホストから名前を変更しておいた。ありがたく思え。
このリモート儀式を執り行うに当たって気づいたことを書いておく。
・事前に接続の仕方とかアカウントの取り方とかの資料を相手先に投げておく。ネットで調べたらパンフ的なものがあるからそれだ。一応参考にして自作した。
Webexはすごいなインプレスの「できる」シリーズの廉価版みたいなのをネットで配布してる。
・会合の開始前に開場して接続と着席をしておくべき。社内で運用しているような先進的な人間や会社ばかりではない。ともすればこれがリモート会議に接続するのが初めてなんて相手がいることが前提になる。(そしてこれは今後ずっとついて回る)その場で電話かけて使い方を教えないといけない、なんてことになるので早めに開場して着席しろと言っていくしかない。ぶっつけ本番で構成した機材で接続してきて音声周りにトラブルがあって開始がかなり遅れた件があった。
・ホストサイドは著作権フリーの音楽データを準備時間にBGM的に流しておくと良いのではないかと考えている。ラジオなんかじゃないのでホストが話し続けるわけにもいかず、自然と黙りこくる羽目になる、何かで音が出続けてないとスピーカーが繋がってるかどうかわからないからだ。
・相手に見せる資料は事前のチェックを万全にする。たいていの場合、「事前に配布資料ください」という流れになる。そうすると相手は資料を読み込んでくるのでこちらもそれ以上の読み込みとチェックが必要になる。押し付けられるスケープゴートがいないならなおさら自分で。
・ジンバル・BTヘッドセット・スマホジンバルをサクッと導入した俺偉いと思う。「何かをリモートの向こうに見せないといけない場合」に画面の揺れで酔うことの防止にすごい効果がある。また、この儀式においてカメラ(スマホ)を持つ人間と案内する人間は別になる場合が多く、カメラ(スマホ)から多少距離がとれるBTヘッドセットは大事。骨伝導イヤホンはいいぞ。
・「この儀式」について検討が付いている人ならわかるが品質管理がその旨であるので、遅かれ早かれカメラを持って現物に対峙することになる。コンベックスルールや指矩、直尺の目盛は本当に正面から撮らないと読めない。
・近接して対物の動画を撮る事に関しては何かで学んだ方が良い。カメラの動かし方には見る側が見易くなるためのルールがある。ちなみに俺はズッコケ3人組で学んだ。最後ちょっと後味が悪いビターエンドなヤツだ。
だいたいこの辺が実践してみての気づきである。ちなみに「やれ」と言われて次の週には形を作って儀式を実践し、そのあと社員用マニュアルやら講習会やらやって再度儀式。大体ひと月で会社のメンバーを対応させたのそれなりに一仕事だったと思っている。誰にも感謝されないけど。