てのひらを、かえして

知的怠惰の集積地よりお送りする、手斧と料理のふんわりブログ。

失敗する男たち 「星系出雲の兵站-遠征-5」

 

 

 せっかくなのでこの記事に触発されて書いておこうと思う。

 

 私はこのシリーズのファンであり、

「〇〇は敵より多い兵力でゴリ押ししてるだけ!名将じゃない!」 → なんたる愚…生兵法とはまさにそなたのためにある言葉だ… - Togetter

全く関係ないけどここで出てる「星系出雲の兵站」シリーズ最終巻が先月出てんだけど、今巻のオビが「英雄の余地がある文明はそこそこ幸運かもしれない」でこれはこれで好き。<a href="https://twitter.com/reyhori/status/1294537454129569792?s=" target="_blank" rel="noopener nofollow">https://twitter.com/reyhori/status/1294537454129569792?s=</a>

2020/09/17 10:20
新型コロナウイルスでイタリア人神父、少なくとも50人死亡  - BBCニュース

英雄の誕生は兵站の失敗。/ って言うカッチョいい言葉はハヤカワ文庫『星系出雲の兵站』シリーズで出てくるのでみんな読もう!

2020/03/25 13:48
ブコメでも何度か引用したり紹介してきた。それが2020年に完結したのが表題にも書いた巻だ。

 

 4巻の最後でとんでもないことが起こり、主要メンバーの安否すらわからない状況での開幕からいよいよ明らかになる異星勢力の姿、最終的なネタばらしはちょっとお芝居がかってて好みではなかったけど、最後のシーンはこれから人類が背負う重荷も含めたそれでも明るい未来の示唆でとても好きだ。

 

 このシリーズを私は「失敗」の話だと位置づける。アーロンもダニエルもアイロスも香椎も、そしてメインどころの水神や火伏や烏丸もタオも大被害を被るという大失敗に見舞われる。

 

 この中では香椎の失敗がどうにも気になった。参謀本部にいた頃の成功体験、ブレインストーミングから意見を統合する中で作戦の方針を見いだし、意見の対立を調整することでメンバーの意見をまとめるとともに一体感を醸成するやり方が、未知の相手にすでに相対している艦隊のメンバーには通用せず、そのために艦隊と距離ができ、目標の統一すら図れないまま戦闘に突入することになったことが失敗の原因だった。

 

 でもさあ、ものすごい身に覚えがあるんだよな香椎さん。訳も勝手もわからないまま落下傘みたいに投入されるのしんどい。そのなかでようやく話ができる相手がいると思ったら見当違いだったりしてなあ香椎さんそれつらかったよな。おれもやったよ長いこと子会社に出向しててその子会社絡みの案件でのトラブル解消のため本社に投入されて誰もやる気ねえし納期は迫ってくるし。

 

 すまない。取り乱した。

 そういうわけで星系出雲の兵站。後半シリーズは烏丸司令官というおもしろキャラも出てくるのでどうぞ。

 -遠征-3巻の最後の締めの文章で爆笑してしまった。