てのひらを、かえして

知的怠惰の集積地よりお送りする、手斧と料理のふんわりブログ。

味噌汁は沸騰させるとうまい。

前々から思っていたんだが、味噌汁って沸騰した方がうまくないか?

先週の金曜日だったか、とりあえず晩ご飯を家族に出して、それから自分のをよそおうとした拍子に何らかの用事に意識が向いて、しばらくしたら部屋中に味噌のいい匂いが漂っていてやらかしたことに気がついた。味噌汁を沸騰させてしまっていたのである。

味噌汁を沸騰させることは悪であると料理をする人はみんな言う。家庭科の教科書にも書いてあるし、料理番組でもそう言うし、インターネットで検索したらあちらこちらのサイトが口を揃えて言うんだ。「味噌汁を沸騰させてはならない」と。土井先生はどうかな? もしかしたら「それでもええんです」って言ってくれるかもしれない。

正直に白状すると俺は沸騰して煮詰まってギュッとした味になるのが好きだ。単純にうまいと思う。もともとアチアチで味噌汁を飲みたい質で、家族の分はともかく自分用は一回煮えばなまで温めて注ぐことにしている。そのまま味噌を溶いただけの味はちょっとソリッドな味噌の味がくるが、沸騰してすこし煮詰まった味噌汁には旨みと甘みを倍くらい感じる。のどの奥にこっくりとした旨みが通過していくのがたまらない。

また、煮詰まったことで少しだけとろみが生じているのもいい。味噌の風味が沸騰すると飛ぶと言うが、煮詰まった味噌汁からはとってもいい匂いがする。特にジャガイモとかサツマイモを煮たときは煮詰めた方が絶対にうまい。あと大根。根菜系は全部こっちの方がおいしくなる。そういや実家の豚汁は沸騰していた気がする。

だいたい火が通った味噌がおいしくないわけがないのだ。おにぎりに味噌塗って作る焼おにぎりだってちょっと焦げてるのが香ばしくてうまいし、土手鍋だって平気で沸騰させるし、鯖の味噌煮だって沸騰させるじゃないか。

家族はふつうの味噌汁を好むからこれからもそうやって作るけど、最後に自分の分は沸騰させてから飲もうと思う。おれは孤独な味噌汁レジスタンスだ。