てのひらを、かえして

知的怠惰の集積地よりお送りする、手斧と料理のふんわりブログ。

日記231129 味噌汁を作ったはなし。

(231130 22:10 山岡士郎の「士」の字を誤ってたので修正)

学校の宿題で味噌汁を作らねばならぬと子が言うので、一応口だけ出して、できるだけ手を出さぬようにして作らせてみたが、台所の物の置き場から知らないので当たり前だがだいぶ手を貸すはめになった。

よく言う、昆布は鍋に泡がついてふわっと浮き上がったら取り除く、鰹節は沸騰直前に取り除く、なんて出汁の取り方はあれはお吸い物を作るときのやり方で、大量の出汁材から香りを含めた一番いいところをとるやり方ではないかと疑っている。味噌の味も香りも強い。負けないようにもっと煮出していい。昆布も煮干しもぐつぐつ言う鍋の中で踊らせる。白くふやけてくるまでくらい煮ていい。

味噌汁の作り方というと灰谷健次郎の「きみはダックス先生がきらいか」を思い出す。上記のお上品な出汁の取り方を俺はこの本で学んだ。たしか小学校教師のダックス先生(足が短いから、ろくでもないあだ名だ)が生徒との雑談で味噌汁の作り方となって、ハイミー、味噌、味の素で味付けしているというのでこれはけしからんとダックス先生が本来の家庭科は5年生からなのに急遽授業で取り上げるという展開だ、山岡士郎かおめー。

いいんだよ、ハイミーには鰹も入ってんだから。こないだ試しに買おうとしたら結構高かったわ。

確かに本来、昔ながらの作りかたというのは知っておくべきだが、生活に沿った省略版もまたあっていい。今の時代だとネットで炎上してるかもしれんなダックス先生。

灰谷健次郎は個人的には「兎の眼」の方が好きだ。あっちの方が出てくる連中どいつもこいつも強そうで、簡単に被害者ヅラなんてしそうにないところがいい。被害者ヅラなんて好き好んでするもんじゃないよ。

子供の前で料理をしてみせることで何とか彼らも料理を身につけようと思って欲しいが、いまのところどうもそのつもりはないらしいので、こういうことを少しずつまとめて、なんならいくつかレシピをつけて、オフセット何十枚かで製本して一人暮らし始めたり青年したりした時点で渡せるようにしておくのいいな。家訓とか伝統とかもちろん渡すべき遺産もロクにない予定なので。

ちなみにどうやって味噌汁の宿題なんて提出するのかと尋ねたら学校用タブレットで写真撮ってそのままアップロードしてた。実に素晴らしい。